知られざるスイス Vol.3 インターラーケン

メインアトラクションのひとつ、迫力満点の石投げ。
赤いスカーフがポイントの民族衣装。
髪飾りの形と大きな襟に特徴があるスタイル。

誰もが主役!笑顔に包まれる伝統のアルプス祭り

 ユングフラウ地方へのゲートシティとして世界中から人々が訪れるアルペンリゾート、インターラーケン。この町では、11年から13年に一度開催される伝統のアルプス祭りが行われます。その名は「ウンシュプンネン・フェスティバル」です。

 2017年に行われたこのフェスティバルは、10回目となる記念すべき祭典。牧童の暮らしから誕生した祭りの起源は13世紀頃までさかのぼるといわれていますが、公式には1805年に第1回目が開催されています。政治の中心であったベルン市の人々とベルナーオーバーランドの人々は当時緊張状態にあったので、争いを避け、親交を深めるために開催されたのが始まりです。その後、1808年、1905年、1946年、1955年、1968年、1981年、1993年、2006年に行われてきた歴史があります。
 2017年は8月26日から9月3日までが祭りの期間。スイスの国技でもあるレスリング、メインアトラクションである石投げ、アルプホルンの演奏、民族衣装の祭典などが開催されました。メインの石投げは、とてもシンプルな競技です。このフェスティバルのために保管されている83.5kgの大きな石を、どれだけ遠くに投げることができるかを競うのです。頑強そうな男性がズラリと並び、自分の順番になると助走をつけて走り出し、すごい形相で石を投げます。観客は、その姿を見て歓声をあげたり拍手をしたり。淡々と進む競技は独特の間があり、単純なルールだからこその面白さがあります。この競技に使われている石は、3代目だそうですが、ちょっとした曰く付き。1代目と2代目の石は、何者かによって盗まれてしまい、行方不明のまま。なかでも2代目の石は、一度盗まれた後に、戻ってきたのですが、再び盗まれてしまったそうです。
 後半の9月1日から3日までは、民族衣装を着た人々が歌ったり踊ったりという音楽の祭典が続きます。地方ごとに異なる民族衣装が揃ったファッションショーのよう。州ごとに特徴があり、細かな刺繍や銀細工のアクセサリーなどは、思わず見とれてしまうほど。フェスティバルに参加している人々は、皆が主役です。声をかけると気軽に写真撮影に応じて、最高の笑顔を向けてくれます。「このフェスティバルに参加することをずっと楽しみにしていたの」と、誰もがハイテンション。子どもから、おじいちゃん、おばあちゃんまで、民族衣装に包まれて微笑む姿は、スイス人の誇りを感じさせてくれる光景です。
 最終日のパレードも圧巻。華やかな姿の人々がメインストリートを歩き、フェスティバルはフィナーレを迎えるのです。スイスという国の多様性を実感し、このような晴れ舞台がある人々の幸福を考える時間となりました。

オルゴールの音色が響き渡るハンド・オルガン。


大きなベルをつけた牛も参加する最終日のパレードの様子。


沿道の観客たちに手を振る民族衣装の少女たち。

 
取材協力:
スイス政府観光局
https://www.myswitzerland.com
スイス インターナショナル エアラインズ
https://www.swiss.com
スイストラベルシステム
http://www.raileurope.jp
ウンシュプンネン・フェスティバルhttp://www.unspunnenfest.ch/
https://www.myswitzerland.com/ja/unspunnen17.html/

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