知られざるスイス Vol.1 ツェルマット

ツェルマット駅前に停車しているタクシーも電気自動車。
山上湖、シュテリーゼーの「逆さマッターホルン」。
ヴァレー州に生息する羊、シュバルツナーゼは愛嬌たっぷり。

マッターホルンに見守られるカーフリーの村へ

 ツェルマットという村の名前を聞いたのは、およそ20年前のことでした。人口は6000人足らず。ガソリン車は入ることができない、電気自動車が走る「カーフリー」の小さな村と聞いて、どんなところなのか気になっていたのです。いよいよその村へと向かうこととなりました。
 フィスプを出発した登山列車は1時間でツェルマットに到着。駅前には、各ホテルの迎えの電気自動車がずらりと並んでいます。しかし、何かの手違いで、今晩泊まるホテルの車はいないようです。スーツケースとともに駅前をウロウロしていると、通りかかった男性が駅に設置された電話を指差しながら「これでホテルに連絡するといいよ」と教えてくれました。その電話はホテル名と番号が明記された地図とともにあり、無料で連絡を取ることができるシステム。世界有数の山岳リゾート地らしい整備された環境です。さっそくホテルに電話をすると、5分ほどで迎えに来てくれました。
 そして、ツェルマットといえば、マッターホルンをはじめとするアルプスの雄大な景色は見逃せません。湖に映り込む“逆さマッターホルン”を見るために、山上湖のシュテリーゼーへを目指します。今回のルートは、ケーブルカーでロートホルン展望台(3103m)へと上がり、再びケーブルカーに乗り継いでひとつ下の駅ブラウヘルトへ。そこから約1時間のトレッキングでシュテリーゼーへ。ロートホルン展望台で、荘厳なマッターホルンに対面し、心が引き締まります。この展望台は、最もマッターホルンが尖って見える場所だとか。トレッキングロードを歩き始めると、どこからかシャンシャンと鈴の音が響いてきました。ゆるくカーブする道の先から、白い体に黒い顔の2頭の動物がトコトコと歩いてきます。ガイドのファビエンヌが「ヴァレー州だけにいるシュバルツナーゼという羊よ」と教えてくれました。顔全体は黒い毛で覆われているので、どこを見ているのかわからないのですが、なんともいえない愛嬌ある姿。私たちとすれ違い、歩いていく後ろ姿を見送りながら、お互いの無事を祈ります。シュテリーゼーに到着すると、山頂に雲がかかっていたので、山小屋でひと休み。雲が動くのを待って、無事に逆さマッターホルンに出会うことができました。

 心が洗われる景色を楽しんだあと、ツェルマットの村に戻り、メインのバーンホフ通りを散策します。チョコレートショップやギフトショップ、アウトドアショップなどが並び、そぞろ歩きが楽しい通りです。ぜひ、立ち寄ってほしいのが「マッターホルン博物館」。「孤高の巨人」と呼ばれるマッターホルンをめぐる歴史を、「切れたザイル」などの展示物が語りかけてくれます。なぜ、人々がマッターホルンに魅せられてしまうのか……。さまざまなストーリーを知った後にそのシルエットを見上げると、その姿がさらに気高く感じられるのでした。

ロートホルン展望台から望む荘厳なマッターホルン。


メイン通りのバーンホフ通りはのんびりと歩きたい。


この街の歴史を知ることができる「マッターホルン博物館」。

 
取材協力:
スイス政府観光局
https://www.myswitzerland.com
スイス インターナショナル エアラインズ
https://www.swiss.com
スイストラベルシステム
http://www.raileurope.jp
ツェルマット観光局
https://www.zermatt.ch/jp
マッターホルン博物館
https://www.zermatt.ch/en/museum

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