~食を楽しむ小さな街めぐり オランダVo.3~
かつての給水塔がホテルに生まれ変わった
『Villa Augustus』。
開放感あふれるレストラン。食事を楽しむために訪れる人も多い。
ドルドレヒト 給水塔がホテルに変身!
ロッテルダム近郊の街ドルドレヒト。この街には、あるホテルに泊まる、もしくはそのレストランで食事をする、という理由で人々が押し寄せています。そのホテルの名前は『Villa Augustus(ヴィラ・アウグストゥス)』。もともと貯水池だった跡地をリノベーションし、ホテル、レストラン、野菜・果物園、ベーカリー、雑貨店などが敷地内にできています。背の高い給水塔、ウォータータワーが目印。まるで古いお城のような佇まいです。
37室ある客室はそれぞれに部屋のインテリアが異なっていて、アンティークの家具がほっとする空間を演出しています。ホテルのモチーフとなっているのが、かわいいウサギのイラスト。パンフレットからレストランのお皿に至るまで、いろんなところでこのウサギたちが登場します。
ホテル誕生のきっかけとなったのは、1930年にこのエリアが空撮された古い写真でした。さまざまなホテルのリノベーションを手がけていたふたりのデザイナーが、2003年にその写真を市庁舎で見つけました。その当時、もう使われていなかった貯水地の写真から、この場所をホテルにしたら……とイマジネーションが膨らんでいったといいます。そして、ドルドレヒト市に提案をもちかけ、実現の道が開かれたのです。
レストランでは、野菜園でつくられるオーガニック食材を使った料理を楽しむことができます。どれも素材の持ち味を生かした、シンプルな料理法。薪で炊いたオーブンでは、ピザやパンなどが焼かれています。働いているスタッフのサービスも朗らかで、とてもリラックスできました。
雑貨店には、オリーブオイルや手作りジャムなどの食材をはじめ、カラフルなキッチン用品、文房具などが並びます。見ているだけでも楽しい空間!
オランダでは、たびたび古い建物のリノベーションに驚かされますが、このホテルでも発想の面白さに心踊らされました。
photographs by Yuri Manabe
とれたての野菜をつかった料理をゆっくりと味わう。
笑顔が素敵なスタッフとの会話も和みの時間。
レストランの隣にあるショップでお土産探しを。