~食を楽しむ小さな街めぐり ベルギーVo.2~
“花の都”と呼ばれるゲントは、情緒ある街。
『Tierenteyn Verlent』のマスタードはとてもなめらか。
ゲント 美味しいもの尽くしの散歩道
ベルギー北西部に位置するゲント。ブルージュと並ぶ北方ルネサンス発祥の地でもあります。街にはレイエ川が流れ、水辺には中世の栄華を伝えるギルドハウスが立ち並んでいます。街の中心には、スイーツやベーカリー、食材店など、食いしん坊には魅力的なお店が点在しています。街歩きをしながら美味しいものを探しに行きましょう。まず訪れたのは、『Tierenteyn Verlent(ティーレンタイン・フェルレント)』というマスタード専門店。昔ながらの作り方を受け継いでいる老舗です。店内にはずらりとマスタードを入れる壺が並びます。ちょっとレトロな壺を選べば、大きな樽からマスタードをひとつひとつその場で詰めてくれるので、お土産にぴったり。
次は、老舗菓子店『Temmerman(テメルマン)』です。19世紀創業の店構えはとってもシック。ゲントには「キュベルドン」と呼ばれる伝統菓子があるのですが、このお店のキュベルドンは、ちょっとユニーク。一般的なキュベルドンは鼻の形をモチーフにしているのですが、このお店ではなんと顔! ちょっと不気味なかんじですが、味は地元の人々のお墨付きです。
散策の最後には、お待ちかねのビールです。ベルギービールといえばハーブなどを使ったさまざまなフレーバーのビールで知られていますが、ゲントに来たらビアカフェ『de Dulle Griet(デ・デュレ・グリット)』というビアカフェで、「MAX」ビールをオーダーしてください。このビールを頼んだ人は、なんと片方の靴をお店天井に吊られたカゴに預けなければなりません。テーブルに運ばれてきたのは、木の枠に入った背の高いビールグラス。グラスには触れずに木のところだけを持ってビールを飲み干さなければ、靴を返してもらえないのです。店員さんも店内のお客さんもみな笑顔でこのビールを飲む人を見守っています。まさに、ここでしか体験できないひとときでした。
photographs by Yuri Manabe
19世紀創業の『Temmerman』の伝統菓子「キュベルドン」。
『de Dulle Griet』で「MAX」ビールを頼むと靴をこのカゴへ。
馬車の中でも倒れないように木枠がつけられたという謂れがある。
Temmerman(テメルマン)
Kraanlei 79
Kraanlei 79