~食を楽しむ小さな街めぐり オランダVo.2~
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『Markthal』の外観。この建物には正面という概念はない。
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壁面にはのびのびと花や果物が描かれている。
ロッテルダム 驚きの屋内マーケット
オランダ第二の都市、ロッテルダム。ライン川の河口にあり、世界最大級のロッテルダム港でも知られるように、商業・物流の拠点として栄えてきた街です。そして、第二次世界大戦の爆撃で大きな被害を受けた旧市街には、現在では斬新な建築群がそびえ立っています。そのロッテルダムに、2014年秋『Markthal(マルクトハル)』という巨大な屋内マーケットが誕生しました。およそ100店ものお店が並ぶフードマーケットは、そぞろ歩きも楽しいほどです。
このマーケットが世界中から注目を集めている理由は、その建築にあります。まさに、逆転の発想。住宅や事務所となっている空間がぐるりとマーケットを包み込んでいるのです。
この建築を設計したのは、世界的に知られる建築集団「MVRDV」。街との調和を大切にした外観は、ガラス張りのファサードと小さな窓に特徴がある建物というかんじ。一歩その中に足を踏み入れると、夢の中にいるような空間が広がります。
一面に広がる壁には、巨大でカラフルな花や果物などが描かれていて、アートな世界。地下には、スーパーマーケットと、1200台を収納できる駐車場もあるというから、びっくりです。住居空間のガラス窓からは、市場を真上から眺めることができるという遊び心もいっぱい。
驚きのマルクトハルを後にして、もうひとつのスポットへ。『FENIX FOOD FACTORY』は、かつては倉庫だった場所をリノベーションし、チーズ、コーヒー、クラフトビールなど地元でつくられた食材を扱うお店などが集まっています。海沿いのテラスでは、くつろぐ人々が。
ロッテルダムで訪れた場所は、どちらもオランダらしい。斬新さと、一方はほどよく力の抜けた感じがする場所でした。
photographs by Yuri Manabe
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住居空間から下を見下ろすとこんな風景が広がる
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倉庫をリノベーションした『FENIX FOOD FACTORY』
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ベーカリーをはじめ地元のコーヒー、チーズ専門店などが並ぶ
Markthal(マルクトハル)
www.markthalrotterdam.nl
FENIX FOOD FACTORY
www.fenixfoodfactory.nl