~食を楽しむ小さな街めぐり オランダVo.1~
チーズ市が開催されるのはチーズ計量所前のマルクト広場。
仲買人と生産者が手を握り合って価格交渉をしている。
ゴーダ/ベームスター 美味しいチーズの物語
「ゴーダチーズ」というチーズを食べたこと、聞いたことありますか?実は、ゴーダチーズというのは種類ではなく、オランダの街、ゴーダ市周辺でつくられ、この街で計量し取り引きされたチーズをそう名付けているのです。
そんなチーズの街、ゴーダでは今でも4~8月の毎週木曜日に伝統的なチーズ市を再現し、観光客を楽しませてくれます。研究者のような白い羽織を着ている人(仲買人)と、ベレー帽に木靴を履いた男性(生産者)がしきりに握手をしています。
300年ほど前から始まったといわれるこの行為は、チーズの値段を手の握り方で互いに交渉、確認しているとのこと。
ゴーダ周辺でつくられたチーズはこの場所に集められ、アムステルダムなどへ出荷されていきます。ゴーダできちっと計量されたチーズ、という信用を得て人々の手に渡ってゆくのです。ゴーダの街にはたくさんのチーズ店もあり、街中にもあちらこちらにチーズのオブジェが。散策していてもなんだか楽しい気分になります(チーズが嫌い、という方以外には!)。
つづいて、『ベームスター・チーズ』の工場へと向かいます。ベームスターは世界遺産にも登録された干拓地。緑豊かな牧草地が続きます。近郊の475の農場主が出資しているこの会社は、最新の設備を備えています。
案内してくれたハリスさんの説明はとても明解。「私たちのゴールはとにかくベストチーズをつくること。大量生産はしません。農家はみな家族です。サスティナブル、そう、よいチーズをつくりつづける環境をつくること。これがとにかく大切なんです」。
伝統的なチーズ市から最新のチーズづくりまで。いろいろな場所で「信用」という言葉を耳にしました。
photographs by Yuri Manabe
子どもたちがオランダの伝統衣装に扮するツアーも
広場では、熟成ものなどさまざまな手作りチーズも販売されている
最新の設備を備えた『ベームスター・チーズ』の工場
ゴーダのチーズ市
www.goudakaasstad.nl
ベームスター・チーズ
www.beemstercheese.com